セロトニンを増やせばうつが治る訳ではない
①セロトニンにはたくさんの作用があり、そのうちのいくつかは気分を悪化させる
②セロトニンのいらない作用を抑える成分は有効
③具体的に言うと抑肝散、ミルタザピン等の5-ht2c受容体を遮断する物質である。アゴメラチン。
④アグマチンはセロトニンを増やさずにセロトニンそのもの効果を増強する
セロトニンの作用のうち、5-ht2c受容体を介した作用はうつを悪化させる。SSRIを取って最初に気分が悪化したり、効くまでに効果がかかるのはこのせいだとされる。
自殺者の一部ではこの受容体が増えているという研究もある。
よってこの有害な作用を抑えることが重要となってくる。
・抑肝散 認知症状に用いられる有名な漢方。実はセロトニン拮抗作用を持つ。
欠点 甘草を含有するため偽アルドステロン症を引き起こす。値段も高い。
・ミルタザピン 様々な有益な作用を持つ薬。画期的といえる。セロトニンの拮抗に加え、かゆみ、吐き気を抑えたり、鎮静効果を持つ。
欠点 体重増加、酷い眠気が救いようがない。(とされる。まだ自分は試したことがない)
・アゴメラチン メラトニンに極めて似た構造を持ち、5-ht2c拮抗作用を持つ。睡眠のリズムを整える。
欠点 肝臓の機能を悪化させる。またナフタレン構造を持つため発ガン性があるかもしれない(少量なので問題がないのか?)吸収率が劣悪、国内でまだ使われておらず、高価である点。
Google 翻訳5-ht2c受容体の英語版wikipedia。日本版にはない詳しい解説が魅力的である。うつについての詳しい考察もある。
・アグマチン セロトニン拮抗だけでなく、難治性うつに有効なケタミンと同様の作用を持っている。また鎮痛薬の耐性を逆転させる。欠点は効果時間。これらの中では安いがそれでも高い。
セロトニンを増やさず、効果を増強するという独特の作用がある。
※2017年6月28日訂正
アグマチンにはセロトニン拮抗効果はなく、セロトニンを増やさずにセロトニンの効果を増強させるというのが本当だった模様。イミダゾリン受容体及びα2A受容体もこの効果に関与している。